平成31年新年のご挨拶 一丸副院長

「平成最後の年の大災害を超えて」

新年あけましておめでとうございます。
平成最後の年明けです。
昨年は当院にとって大変な一年でした。まず6月に震度6弱の地震を受け、給水ポンプの故障や壁のひび割れ等が発生。その補修の最中、9月の台風21号の直撃により送電線が切断され、突然の停電で病院機能が停止しました。少し前に同規模の病院で、エアコンが故障して何人もの患者様が熱中症で亡くなってた時期です。夜に向け真っ暗で蒸し暑くなる中、何とか患者様の安全を確保しようとそれこそ手探りでスタッフ全員が危険を押しての作業や、知恵を絞りながら必死に患者様に寄り添い、でき得る事・最善と思われる事をしました。人工呼吸器などを着けている患者様を中心に他院へ転送作業が終了した深夜0時ごろには電線が復旧となりましたが、当院の変圧器が過電流により故障し電気の供給ができない状態と判明しましました。新しい変圧器の設計・制作が完了するまでの一か月間、100人の入院患者様のうち約60人の患者様には一時的に他院へ転院避難して頂きました。闘病中の患者様や家族様にも多大なご負担、ご心配とご迷惑をお掛けしたことを深くお詫びいたします。しかしそんな中でも多くの家族様、患者様御自身から逆に笑顔で「大変ですね、頑張って」と励まして頂いたり「必ずここに帰ってきたいです」と言って頂け、疲れて倒れそうな時でもまた頑張り立ち上がる力が湧いてきたことを覚えています。
復旧までの間は駐車場が埋まるような巨大な災害用発電機を3台借りて稼働させ、何とか最低限の病室の冷房や電気、機械の電源を確保しました。お蔭様で誰一人熱中症や管理不足等で重症化や死亡されることはありませんでした。ただ、近隣の住民の方々には発電機の騒音が24時間続き続け、過大なストレスとご迷惑をお掛けして大変申し訳なく思っています。
そんな中でも病院の窮状に皆様ご理解頂き、我慢をして下さったり、電源を貸して下さったりとご協力いただき本当に感謝しております。
検査機器も動かず外来機能も停止した為に、多くの患者様の診療を止むを得ずお断りもしました。また機材や配線が交差する暗い部屋の中や廊下・待合室で点滴受けて頂いたり、電気を使わないリハビリなどを我慢して受けて下さった多くの外来患者様方にもお詫びと感謝を申し上げます。今回の災害では、多くの病院が無理にベットを空けて下さり患者様を受け入れて下さいました。エレベーターも動かず担架で患者様を担いで階段を昇降するのを何人も手伝って下さった病院もあります。一人一人が患者様を想い、生命を想い働いている姿に感動しました。ありがとうございました。
多くの方々に支えられ、スタッフ全員が最善を尽くし、何より多くの患者様や家族様の皆様に助けられ、約1か月後には入院・外来共に完全復旧しました。10月中には満床に回復し11月には病床稼働率も100%に回復いたしました。患者様を救うという一つの信念を見失わず、損得よりも医療者としてするべき事を目指していれば、多くの人の力に助けられる事、スタッフ一丸(私の名前ではなく)となり、患者様と共に頑張れば大きな災害をも乗り越えることもできる事を学びました。
いのしし走る平成最後の年、新しい年号の始まる年を東朋病院スタッフ一同、患者様の健康の為、苦痛を軽減するために猪突猛進の勢いで頑張って行きたいと考えております。本年もよろしくお願い申し上げます。

東朋病院
副院長  一丸 之寿

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